海外赴任となるといろいろな手続きや準備が発生しますが、避けて通れないのが海外引越です。
国内引越と違って経験者も少なく、あまり情報も出回っていないので、何をどのように進めるかその実態を知らない人も多いんじゃないでしょうか。
僕自身は合計2回、ドイツへの引越を経験していますが、正直言って海外への引越荷物を送るのは準備が本っっっ当に大変なのでもうやりたくないです^^;
この記事では、僕自身のドイツ引越の実例を交えながら、海外に引越荷物を送る流れや注意点について解説します。
これから海外赴任準備をする方、特にドイツへの引越を予定している方は、ぜひ参考にしてくださいね。
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赴任準備でドイツに荷物を送るタイミングは?
海外引越で荷物を送るタイミングはだいたいどのくらいにやってくるのか、僕自身のドイツ引越の例をもとに解説していきます。
まず今回、僕が海外赴任の内示を受けてから、実際にドイツに赴任するまでのタイムスケジュールは次の通りでした。
赴任6カ月前 海外赴任内示
赴任4カ月前 海外引越業者(今回は日本通運さん)とのやりとり開始
赴任3カ月前 事前見積もり(通常は訪問見積もり、今回はZoomで簡易的に)
赴任2カ月前 船便出発
赴任2週間前 航空便出発
赴任2週間後 航空便受け取り
赴任3週間後 船便受け取り
この中で、ドイツに荷物を送るタイミングは2回、船便(赴任2カ月前)と航空便(赴任2週間前)です。
ちなみに今この記事を書いているのは赴任3週間前、船便が出発した後で次の航空便の準備をしているところです!
船便と航空便って何?
ドイツに引っ越す際、現地で生活するのに必要なものを日本から運ぶ手段として最もシンプルなのは「赴任時の手荷物として一緒に持っていく」です。
ただ、当然ながらスーツケースで運べる量にも限界がありますし、航空会社の規定の範囲内でないと載せられないか、もしくは追加料金がかかってしまいます。
そこで、自分では運びきれない荷物を赴任前に事前に輸送するための手段が船便と航空便で、それぞれ輸送にかかる日数や輸送できる量に違いがあります。
船便と航空便、そして赴任する際の手荷物での運搬を比較すると次のようになります。
項目 | 船便 | 航空便 | 手荷物 |
---|---|---|---|
輸送手段 | 貨物船 | 貨物機 | 飛行機 (預け入れ+持ち込み) |
輸送にかかる日数 | 60~70日 | 11~19日 | 即日 (人の移動と同時) |
輸送できる荷物の量 (単身の場合) | 10m3 (会社規定による) | 100kg (会社規定による) | 航空会社規定による |
このように、輸送にかかる日数や送れる量に差があるので、
・現地で何をいつから使いたいかを考える
↓
・日本からどのタイミングで何を送るかを考える(ただし、容量制限に注意しながら)
といったように、持っていくものを事前に仕分けておく計画性が重要になります。
2023年現在、コロナウイルス感染拡大に加えてロシアのウクライナ侵攻もあって、航空輸送への影響と航空会社を取り巻く環境が劇的に変化しています。
その結果、「旅客便の大幅減便」「航空貨物スペースの供給量の大幅減少」となり、通常より日数を要しているようです。
船便と航空便は同日発送でもOK、ただしデメリットもあり
記事の冒頭に書いた僕のタイムスケジュールでは、船便と航空便を分けて発送していますが、必ずしも分ける必要はなく、同日発送でもOKです。
今回は2回目のドイツ引越ですが、実は1回目の引越では
・赴任2週間前に航空便と船便を同時に出発
↓
・赴任直後に航空便を受け取り、赴任2カ月後に船便を受け取る
という方法を選んでいました。
でも振り返ってみると、この船便なしの2カ月間の現地生活がなかなか不便だったので、繰り返したくなかったんです。
というのも、船便が届くまでの間、足りないものは現地調達することもできたのですが
でも船便に入ってるからもうちょっとで届くしなぁ、ここで買っちゃうと後で捨てることになるし。ガマンして待つか。。。
と考えてしまい、2カ月間いろいろ我慢しながらの生活になってしまったからです。(性格の問題かもしれませんね^^;)
この反省から今回は、現地に着いてからできるだけ早く受け取れるようにと、船便を早めに出発させました。
これだと発送が2回に分かれてメンドクサイというのがデメリットですが、現地での生活を早く安定させられるというメリットを優先しました。
引越作業の流れ
では実際にどのような流れで引越作業が進んでいくのか、引越業者とのやりとり開始から引越当日までの流れを順に解説していきます。
引越業者とのやりとり開始~事前見積もりでやること
赴任の4ヶ月前くらいに引越業者(今回は日本通運さん)から、海外引越のガイドや提出書類など一式が送られてきます。
海外引越のガイドには、海外引越をスムーズに進めるためのポイントや送れない荷物などの注意点などが書かれているので、事前見積もりまでに注意深く読んでおきます。
そしてそのガイドを参考に、自宅にある荷物を船便・航空便・手持ち・倉庫保管・実家等への配送・廃棄に仕分けていきます。
この時点では、どの荷物をどう処理するか、荷物の仕分け先を決めておけばOKです。
なお今回の引越業者さんである日通さんでは、上の写真のように色分けしたファイルで引越前・引越当日・引越後のいつどのタイミングで対応する書類かを分けて送ってくれました。
海外赴任は引越に限らず大量の書類を処理するので、いつどの書類を出さないといけないかの管理が大変なのですが、このように色分けしてくれるのはとても助かります。
1回目のドイツ引越はクロネコヤマトさん(2018年)でしたが、このような書類の色分けはありませんでした。
事前見積もりでやること
自宅にある荷物を、船便・航空便・手持ち・倉庫保管・実家等への配送・廃棄のうちどの方法で処理したいか決めておいた状態で、赴任3カ月前の事前見積もりを迎えます。
見積もりに来た引越業者さんはその情報をもとに、船便や航空便の規定積載量に足りるかを概算して、あとどれくらい載せられる余裕があるか、あるいはオーバーしそうかを教えてくれます。
余裕がある場合はもっと運ぶものを増やしたり、オーバーしそうな場合は運ぶものを減らしたり、または倉庫保管に変更したりと、見積もりの結果をもとに荷物の処理方法をある程度変えることができます。
今回僕の場合は単身赴任だったので運ぶ量も少なく、Zoomでリモート見積もりで済みましたが、家族での赴任なら物量的に現物確認が基本です。
なお、実家や倉庫へ送る荷物がある場合は、送るタイミングをどうするか、送り先はどこか、等もここで調整します。
事前見積もり~荷物搬出までにやること
基本的には事前見積もりで伝えた内容通りに仕分けて整理しておき、パッキングしておきます。
僕の場合は事前見積もりでかなり余裕があったので、米などの食料品や衣類(特に冬用のヒートテックとか)を買い増しして追加しましたが、なんでも追加して良いわけではありません。
特に家具など大きなもので、事前見積もり時と荷物が大きく変わってしまうとトラブルになりうるので要注意、追加したい場合はしっかり引越業者さんに確認しましょう。
なお、食品類は荷物の搬出当日に引越業者に全部細かくチェックされ、結局別の段ボールに詰め替えられるので、食品類は事前にキレイにパッキングしておく必要はありません。(次の章で詳しく解説します)
食品類と分かるように、他の荷物と分けて保管しておくだけでOKです。
荷物搬出当日にやること
そして迎えた引越当日、基本的に梱包や運び出しはすべて引越業者がやってくれるので、仕分けがちゃんとできていれば実は搬出当日は意外とヒマです。
所要時間は荷物の量次第で、1回目の家族引っ越し(段ボール80箱+家具一式搬出)の時は丸1日かかりましたが、2回目の単身赴任(段ボール10箱くらい)は2時間程度であっさりと終わりました。
最後に搬出した荷物のパッキングリストを作成し、税関に申告する用の金額の記入をしますが、それも引越業者さんがタブレットを使って1つ1つ聞いてくれるので答えるだけでした。
税関申告の金額は超ざっくりですが、「申告額0円」は受け付けられないそうで、価値のないものでもある程度の金額で申告します。
ドイツに荷物を送るときの制約
引っ越し荷物の中には、業者が取り扱ってくれないものもあり、それは赴任先の国によっても変わります。
送り先がドイツの場合は次の表のように、食品類(特に肉類と乳製品類)、そしてタバコや医薬品などについての制約があります。
分類 | 引越荷物として取扱いできない品目 | 持ち込みが制限される品目 |
---|---|---|
船便・航空便共通で街頭 | 【肉製品】全ての肉製品および肉エキスが含まれる食品 【乳製品】全て 【卵製品】卵および卵を使用している食品(ただしマヨネーズなど常温保存可能なものならOK) 【タバコ】全て | 【動物・植物検疫が必要なもの】全て(植物性の畳など) 【食料品】引越荷物として取り扱える品目でも、個人が2~3週間で消費する量(※1) |
航空便のみ該当 | 【医薬品】サプリメント、ビタミン剤含む全て(船便または手荷物で携行する) | 【食料品】上記(※1)、かつ全体の1割程度が目安 |
船便のみ該当 | なし | 【食料品】上記(※1)、かつ2~3箱程度が目安 【医薬品】常備薬および救急箱1箱程度まで受託可 |
食品に関するチェックは特に厳しい
先ほどの一覧表の中で、特に食品に関する制約が多いことにお気づきの通り、ドイツに荷物を送る際は食品に関するチェックが特に厳しいです。
中でも肉製品や肉エキスが入ったもの全てNGという制約はなかなか苦しく、かなり多くの食品が制約対象になってしまいます。
動物性油脂(ラードとか)っていう記載はどうなんだろう?と問い合わせてみたところ、それもNGだそうです・・・
このルールだとカップ麺などはほぼ全滅です。(僕が探した中で唯一、どん兵衛だけは持ち込めそうでした)
ドイツの税関では、食品の輸入に関して年々厳しくなっているようで、引越業者さんも食品類だけは1つ1つ、原材料まで全部細かくチェックして、NG品目が含まれてないか全て確認します。
例えば次の写真のように、明らかに肉エキスと分かるものはすぐに「これは運べませんね」と弾かれます。
そして、引越業者さんによる原材料チェックを通過した食品類だけが段ボールに箱詰めされ、食品専用に細かく項目分けされたパッキングリストに記入していきます。
衣類など制約の緩い品目は「衣類」だけの記載で十分なのに、食品については食品類だけの細かいパッキングリストを作成しないといけないということからも、一段上の管理レベルだと分かりますね。
さらに、税関で食品の箱を開けられた際にその食品の数とリストの数が合ってないと問題になるらしく、正確に申告する必要があるとのことで、引越業者の人もかなり慎重にリストを作っていました。
ドイツ引越を2回経験し、それぞれ別の引越業者さんに依頼しましたが、食品については2回とも同じような対応だったので、それだけドイツへの食品輸送自体がルールが細かくて厳しいということですね。
引っ越し担当の人が全部チェックして別の箱に詰めるので、食品類は事前にキレイにパッキングしても無駄ですよ!
税関ではどのようにチェックされる?
引越業者の厳しいチェックとパッキングを経て発送された荷物は、パッキングリストとともにドイツで税関のチェックを受けます。
税関では全数検査ではなく、パッキングリストを見ながら抜き打ちで数箱開けて中をチェックするようで、すべての荷物の箱が絶対開けられるというわけでもなく、箱を開けるか開けないかも税関員次第です。
どんな箱が開けられやすいか、引越業者も明確には答えられないようで、もはや「運」ですね…
箱を開けて怪しいモノが見つかった場合は、引越業者経由で送り主に連絡が入るので、誠実に回答します。
その回答で税関員が納得してくれれば無事通過になりますが、納得してくれなければ没収されるか、課税対象と判断された場合は関税がかけられるか、等の対応になります。
先ほど解説した通り「肉製品や肉エキスが含まれるものはNG」というルールがあるので、税関員もそういった目線でチェックしますが、彼らは日本語が読めるわけではありません。
ではどうやって判別するかというと、パッケージ写真です。
なので肉エキスは入っていなくてもパッケージに肉の写真が載っていたりするものは特に要注意だそうです。
肉エキス入ってないよ!と説明しても日本語の読めない税関員には通じませんからね…
過去のドイツ引越での税関対応
僕自身の1回目のドイツ引越では、船便や航空便の税関は特に問題なく通過しましたが、家族全員(4人)で80箱ほどの荷物の中で7〜8箱開けられた形跡がありました。
日本でパッキングした時に使った茶色のガムテープが剥がされ、代わりにドイツ語の書かれたテープが上から貼られていたので、どの箱が開けられたかはすぐ分かります。
また赴任の時にも手荷物として、スーツケースに加えて段ボール数箱分の荷物と食料品を持って行きましたが、到着した空港で段ボール箱を受け取った後にZOLL(税関)のベストを着た職員に声をかけられ、
「税関員として荷物をチェックする義務がある。この箱の中身は何だ?」と、税関職員の身分証明(警察手帳のようなもの)を提示しながら聞かれました。
怪しいものは何も運んでいないのに焦る僕、「衣類とか食料です。日本からの引っ越しなんです」と恐る恐る説明すると、特にそれ以上質問されることもなくチェックはあっさりと終わりました。
日本人の信用?だったのでしょうか。場合によってはその場で箱を開けられていたかもしれません…
まとめ:海外赴任準備は計画的に
今回は海外赴任準備の中でもかなりのウエイトを占める海外引越について、荷物を送るタイミングや注意点など僕自身の実例を交えながら解説しました。
海外引越は、「いつどのタイミングで」「何を」「どうやって」送るか、事前の計画性がとても重要なので、早めに行動を始めましょう。
海外赴任が決まり、いざ赴任準備が始まると、海外引越だけではなく他にもいろいろな作業や手続きが発生します。
そんな忙しい中で更に、赴任先で使う英語の勉強時間も確保するというのは至難の業なので、赴任に向けた英語学習も同じように事前の計画性が重要です。
次の記事で、英語を効率的よく習得するための5ステップについて解説しているので、計画的に英語学習を進めたい人はぜひチェックしてくださいね。
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