海外経験ゼロ・異業種から転職した会社員が1年半でタイ駐在員に選ばれた理由とは?

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今回は、僕と同じ会社で現在タイ・バンコクに赴任中のN君へのインタビューをお届けします。

N君は僕の大学時代の後輩でもあり、元々留学経験も海外志向もまったくなかったのですが、今ではタイで駐在員として、工場の現場統括や設備提案など、ローカルスタッフと日々英語でコミュニケーションしながら生活しています。

僕のタイ出張のタイミングでN君に声をかけて、久々の再開が実現したので、彼のこれまでの歩みや想いタイ駐在の実態や、駐在を目指す人へのメッセージなどについて語ってもらいました。

もともと異業種の会社に勤務していて、特段海外に強いわけでもなかった彼が、海外志向を理由に転職して今ではタイ・バンコクでとても伸び伸びとした生活を送るに至ったストーリーは、駐在員を目指すあなたの参考になるはずです。

このブログの管理人はこんな人
  • 英語を使って海外顧客相手に仕事する日系企業サラリーマン
  • もともと純ジャパ・海外経験なし、社畜生活で不眠症を経験
  • 自分を変えるべく独学で&国内で英語を習得、TOEIC950点
  • ドイツに研究留学して博士号取得、2024年から海外駐在へ
  • 英語で人生を豊かにする人を増やしたい!
目次

もともとは別の会社からの転職、理由は海外志向

ー【聞き手:かがくけいのおとこ(以下:僕)】久しぶり!なんかこうやって同じ会社で、しかも海外で会うってなんか不思議な感じがするね。

ー【N君】いやぁホントお久しぶりです!そうですね、僕も別の会社から転職してきましたけどコロナ期間中でしたから会えなかったですもんね、同じ会社の社員同士として会うのは初めてですね。

ー【僕】確かに、まだ転職して3年くらいだったもんね。転職して3年、そのうちタイ駐在が何年だったっけ?

ー【N君】今で1年半経ったくらいですね、時間が経つのが早すぎて焦ります(笑)

ー【僕】えっもう1年半も経ってるの?ってことは転職して日本で1年半過ごして、その後タイ駐在ってこと?

ー【N君】そうなんですよ、結構早く海外駐在になりまして。

ー【僕】それは早いね、転職してすぐ海外駐在、ってなんかもともと駐在要員として採用されたとか?

ー【N君】いえ、そうじゃないんですよ、普通に国内勤務で採用でした。

ー【僕】じゃあ、同じような業種でかなり経験積んでた即戦力採用とか?

ー【N君】いやいや全然ですよ、まず業種全然違いますからね。「製造業の技術スタッフ」っていう意味では同じ括りなんですけど、扱ってる製品も分野も前職と全く被ってないです。と言いますか、被ってたら競合への転職ですからね、さすがにそんな勇気はなかったです(笑)

ー【僕】確かに、裏切りみたいになるしあんま日系企業でやらないパターンだよね。じゃああとは何だろう…製造業の技術スタッフでも、海外業務に強かったとか?

ー【N君】いやいや、前職はずっと国内の製造現場にいて、海外は出張でも行ったことなかったです。英会話もできないですし。

ー【僕】えっ、じゃあ業種も違うし海外に強いわけでもなかったけど、転職して1年半で海外駐在っていうこと??

ー【N君】そうです、激レアですよね(笑)。海外経験はなかったんですけど、海外志向は強かったんですよ。と言いますか、海外志向が強かったんで転職したんです。

ー【僕】そうなんだ、それは意外。大学の時にはそんな海外志向強めに見えなかったけど?

ー【N君】大学の時は全然でしたね、社会人になってからです。

ー【僕】前職で何か海外に目覚めるきっかけがあったとか?

ー【N君】そうですね、前職では国内の製造現場で中長期的な計画を作る仕事をしてたんですが、中国や韓国のメーカーにシェアを奪われ続けてて、将来像をなかなか描きにくかったんです。なんかもう、沈没船に乗ってるような感覚で。その頃から、海外に出て海外で起こっていることを自分の目で確かめたい、という気持ちが強くなってきました。

ー【僕】日本の製造業の多くが抱えてる課題そのものって感じだね。前職では海外勤務できる可能性はなかったの?

ー【N君】営業の拠点は世界各国にいくつかあったんですが、生産拠点は国内だけでした。僕は工学部出身ですし、ずっと現場勤務だったので、海外行くために営業に転身するのも厳しいなぁと思って。それで海外にも製造拠点がある会社への転職を希望したんですよ。

ー【僕】なるほど、それでウチに応募したのね。確かにウチだとタイだけじゃなくて他のアジアにも、あとアメリカとかヨーロッパにも拠点あるもんね。

ー【N君】そうです、転職サイトにも登録して、エージェントにも相談しながら探してたところで「海外勤務の可能性あり」の案件が出てきたので応募しました。転職は新卒採用とは違って事業単位での募集なので、応募するポジションで働いた先に海外勤務があるか?という点も確認が必要でしたが、入社後にもいろいろ異動があるでしょうし、世界各国に拠点があるのは魅力的でした。

ー【僕】それで受かって入社したということね。ウチの会社、海外拠点ある割に海外志望ある人少ないし、選考も余裕だったんじゃない?

ー【N君】いや、それが「面接ではあまり海外志望は前面に出さない方がいい」とエージェントに言われたんで特に触れてないんですよ。海外志望をアピールしだしたのは入社した後ですね。

転機は工場長への海外志向アピール

ー【僕】海外志向を伝えずに入社して、そこから1年半後に駐在となると、入社してから海外志向を猛アピールしたとか?

ー【N君】そんなことはなくて、入社してすぐの頃はあまり海外志向を前面に出さないようにしてました。新しい仕事を覚えるのに必死だったのもありますが、地方の工場で製造現場に近い職種なので、まずは現場の信頼を得るのが最優先だな、というのもあって。

ー【僕】じゃあむしろ海外志向を隠してたということ?

ー【N君】自分からはあまり出さないようにして、「海外とかどうなの?」と聞かれたときに初めて「いつか行きたいですね~」と答える程度でした。それが、たまたまとある人の耳に留まったのが転機ですね。

ー【僕】とある人?

ー【N君】工場長です、たまたま工場長と話す機会があって、そこで「海外志向とかあるの?」と直接聞かれたんです。その時点で新しい仕事もある程度覚えてましたし、現場の信頼も得られてきた感覚もあったので、そこでは「海外に行きたい」という想いを伝えました。

ー【僕】ついに本心を人に伝えたのね。そしたらどうなった?

ー【N君】その数か月後に急に海外駐在の話があるけどどう?と上司から連絡が来ました。その時ちょうど海外工場で人気を終えそうな人の後任探しで困ってたようなんですよ。

ー【僕】なるほど、間違いなく工場長と話した内容からの発展だね。マネージャークラスの人に海外志向を直接伝えられたのが大きかったね。

ー【N君】そうですね、あの場面で隠さず言っておいてよかったです。仕事も、入社から真面目に取り組んでいた姿勢を評価してくれていたのもあると思います。

ー【僕】英語力も何かアピールしたの?

ー【N君】いえ、まったくですね。聞かれることもなかったです。ただ、TOEICの点数は頑張って840点くらい取っていたので、そこはアピールポイントとして会社のシステムに登録していましたし、海外派遣を決める時にも見てくれてたと思います。

ー【僕】TOEIC頑張ってると英語力アピールになるよね。英会話も問題なくできる?

ー【N君】TOEICの点数は取れても、実は英会話は全然ダメで…。でも駐在している今となっては、英会話力はあればもちろんあるに越したことはないんですが、どちらかというとコミュニケーション力の方が大事ですね。

ー【僕】コミュニケーション力って、もうちょっと具体的に言うとどういうこと?

ー【N君】今はタイ工場の現場統括という立場なんですが、現地採用のオペレーターはあまり英語レベルが高くないんですよね。やりとりも極力簡単な単語を使ったりとか、相手が理解していなさそうだったら言い換えたり、ゆっくり喋ったり。「ちゃんと伝わるよう工夫する力」という意味でのコミュニケーション力ですね。

ー【僕】なるほど、必ずしも英語ペラペラじゃなくてもいいってことだね。

ー【N君】そうですね、流暢でも意思疎通できないと意味ないですからね。タイ人の英語メールもなかなか読むのが大変で。タイ語は句読点(「、」と「。」)がないので、それをそのまま英語でも適用しちゃって「この文章どこで終わるの?」と解読が難しいんですよね。

ー【僕】それは慣れるまで大変そうだね(笑)。

ー【N君】こんな感じなので、駐在中に英語力が伸びることは正直あまり期待できないんですが、コミュニケーション力は間違いなく上がります。タイ人のおおらかな性格にも助けられて、コミュニケーションを日々楽しんでます!

タイ駐在の生活事情

ー【僕】タイ駐在員ってどんな生活なの?仕事じゃなくて、プライベートの生活は。

ー【N君】ホントにいいの?って思うくらいなかなか手厚いですね。まず移動用の車は会社支給ですし、運転手付きです。

ー【僕】えっ、車支給はよく聞くけど、運転手も?それはそこそこ職階が高いから?

ー【N君】駐在員全員ですよ。バンコクは渋滞がひどいですし、車の隙間をバイクがすり抜けてくるんで、とてもじゃないですけど自分で運転できないです(笑)。なので毎日運転手に会社まで送り迎えしてもらってるんです。

ー【僕】確かに、車もバイクも多いし横断歩道渡るだけでも結構怖いもんね。

ー【N君】他の日系企業も同じように運転手付きって聞きましたよ。タイのバンコク駐在ではこれが普通みたいです。あとは、週1回は必ずゴルフですね。ゴルフに行くのも運転手に連れて行ってもらえるんですよ。なのでプレー中にビール飲んで、車で帰れちゃいます。

ー【僕】会社に通勤する用の車と運転手よね?ゴルフとかプライベートでも使えるの?

ー【N君】ホントにいいのかな?って思いますが、使えちゃうんですよ。ゴルフに行くのも会社のメンバーなんで仕事の延長みたいな感じですし、プレー代も半分くらいは会社で清算できます。あと、家族旅行みたいな完全なプライベートでも、申請すれば運転手に運転してもらって旅行もできます。

ー【僕】なんかもう、なんでもアリだね…。家はどんな感じのところに住んでる?

ー【N君】家も凄いんですよ。妻と子供2人帯同で合計4人暮らしなんですけど、150m2でプール付きです。家賃でいうと30万円くらいなんですが、会社から補助が出るので自分で払うのは4万円くらいですかね。

ー【僕】えっ150m2?ウチの倍以上あるな…

ー【N君】子供は最初、こちらの日本人学校に通ってたんですが、途中でインターナショナルスクールに転校しました。せっかくの海外生活なんで、もっと今しかできない経験をしてもらいたいなと思って。

ー【僕】それはそうよね。でもインターナショナルスクールも学費高いよね?それも会社負担?

ー【N君】いえ、一部は会社に請求できますが、ほとんど自己負担です。年間100万円くらいですかね、これはもう子供の未来への投資と思って割り切ってます。

ー【僕】年間100万円ってすごいな…でもそれを払えちゃうくらいの収入ってこと?

ー【N君】払えちゃいますね、年収でいうと日本の1.5倍くらいありますし。

タイ駐在の今後と、海外駐在を目指す人に一言

ー【僕】駐在生活は日本の生活と比べてどう?

ー【N君】正直、日本の生活には戻りたくないですね。仕事は大変ですがやりがいはありますし、ローカルスタッフと徐々に心が繋がってきている実感があって、成長を日々実感しています。

ー【僕】それはいいね。残業はどれくらい?駐在員は仕事を家に持ち帰ってたりもするって聞くけど。

ー【N君】さすがに定時で終わりという訳にはいかないんですが、それでも7~8時には帰れてますし、仕事を家に持ち帰ることもないので、かなり健全だと思います。

ー【僕】全然良いじゃん!もっと仕事に追われる感じだと思ってた。

ー【N君】日本も働き方改革って言って実際良くなってきてるみたいですけど、同僚に聞いてる感じだとまだまだ全然ですよね。

ー【僕】もう日本の生活には戻りたくないといっても、いつかは日本に戻ってくるよね。だいたい任期が5年くらいって聞くけど?

ー【N君】今後どうなるか分かりませんが、とりあえずあと3~4年のタイ駐在生活を楽しもうと思います。家族もみんなこの生活を気に入ってくれてますし。その後はできれば別の国に駐在したいですね。

ー【僕】一度海外駐在を経験すると日本の生活に戻りたくないっていうのもよく聞くよね。これから海外駐在を目指す人にアドバイスするとしたら?

ー【N君】なんだろう、「順番」と「アピール」ですかね。

ー【僕】アピールか、確かに工場長へのアピールから始まったタイ駐在だもんね。でも順番ってどういうこと?

ー【N君】ただ海外志向をアピールするなら、転職の面接の時にも言えましたし、入社してからも周りの人に言うこともできました。でも、面接では会社や事業のビジョンへの共感を伝えること、入社してからはまず業務を全うして信頼を得ることを優先して、海外志向のアピールはそのあとにしました。後から考えれば、それが順番として正しかったんだと思います。

ー【僕】なるほど。順番を間違えていたらどうなってたと思う?

ー【N君】例えば面接で海外志向をアピールしていたら「海外勤務じゃなくなったらまた転職するのかな」と思われていたかもしれませんし、入社直後に海外志向をアピールしていたら「目の前の仕事すらできない奴が何言ってるんだ」と信頼を得られなかったと思います。

ー【僕】どっちも海外駐在のチャンスを逃しそうだね。今やるべきことをやって、そこからアピールする、それで「順番」と「アピール」が大事ということだね。

ー【N君】僕の場合はラッキーな面も大きかったのですが、まずは1人前として認めてもらうこと、そして権限を持った重要な人に海外志向を認識してもらうこと、この2つが駐在を掴むためのポイントだったなと思います。

最後に

このインタビュー後のレストランの支払いでも、タイの電子マネー(PayPayみたいなもの)でササっと支払いを済ませてくれたN君。

先輩だから僕が払わないと、と思い申し出ても「いえいえせっかくタイまで来てくれたんですから。給料も相当もらってますし」と言われ、なんだか喜んでいいのか複雑な気持ちになりました^^;

そんな彼からインタビューを通じて感じたのは、充実した生活からくる「余裕」や「自信」だったなと思います。

本人は謙遜してあまり多くは語ってくれませんでしたが、英会話はできないとは言いながらもTOEIC 840点取っていますし、大学の時からコミュニケーションの取り方もとても上手だったので、「英語コミュニケーション力」は相当高いはずです。

周りに見せない影の努力で、彼なりに努力して勝ち取った生活なんだろうな、N君と別れた後にそんなことを考えながらホテルに戻りました。

このブログでは、N君のように英語で人生を豊かにするための有益な情報やノウハウを発信しています。

会社員としての生き方を変えたいと思った方は、ぜひ次の記事を参考にしてくださいね!

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