「海外駐在員になると年収が上がるって聞くけど、実際どれくらい上がるの?」
これは気になる人、とても多いんじゃないでしょうか?
もちろん僕もすごーく気になっていたんですが、この記事を書いている時点で、僕自身のドイツ駐在生活が始まって約2カ月、海外駐在員として最初の給料が入ったところです。
そこでこのタイミングで、海外駐在員の年収の実態を、日本にいた時の年収と比較して解説します。
控え目に言って夢のあるお話ですので(笑)、海外駐在員の給料事情を知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
- 英語を使って海外顧客相手に仕事する日系企業サラリーマン
- もともと純ジャパ・海外経験なし、社畜生活で不眠症を経験
- 自分を変えるべく独学で&国内で英語を習得、TOEIC950点
- ドイツに研究留学して博士号取得、2024年から海外駐在
- 英語で人生を豊かにする人を増やしたい!
海外駐在員になると年収はどれくらい上がる?【結論:可処分所得+600万円】
海外駐在員になると年収が上がる、というのは割と有名だと思いますが、じゃあどれくらい上がるのか?というと所説あります。
一説によると、年収は1.5倍くらいになるとも言われていますが、果たして本当なのでしょうか?
ここでは以下の僕のケースをもとに、駐在員の年収アップの実態をぶっちゃけてお伝えします。
- 日系大手メーカーのアラフォー中間管理職(課長クラス)
- 妻と子供2人の合計4人家族、首都圏在住
- ドイツに単身赴任で駐在中
海外駐在ではまず、海外に勤務していることによる手当で収入が増えることに加えて、会社負担になる支出の範囲が広がることで支出も減ることが大きなメリットです。
収入が増えて、支出が減るので、その結果として可処分所得(=収入-支出)は、僕の場合は次のように年間600万円アップする計算になります。
・(A)収入:+540万円
・(B)支出:-60万円
・(A-B)可処分所得:+600万円
海外駐在員のお金事情①収入が増える
海外駐在員の給料の実態として、まず収入が大きく増えます。(正直、自分でもびっくりするくらい増えます。笑)
やはり海外生活は日本に比べていろいろ不自由ですし、仕事だけでなく日常生活にもストレスがかかりますので、その分リターンとなる収入も増えます。
ここで実は、収入が増えるといっても基本給やボーナスそのものが増えるわけではありません。
下の比較表にあるように、基本給やボーナスは日本勤務の場合と変わらない一方、海外勤務や海外生活に伴う手当が増えるので、結果として960万円→1500万円とやはり年収は1.5倍程度に増えます。
項目 | 海外駐在の場合(a) | 日本勤務の場合(b) | 差額(a-b) |
---|---|---|---|
(1)基本給+ボーナス | 960万円 | 960万円 | 0万円 |
(2)海外物価調整費 | 240万円 | 0万円 | 240万円 |
(3)海外勤務手当 | 120万円 | 0万円 | 120万円 |
(4)海外地域別手当 | 0万円 | 0万円 | 0万円 |
(5)海外一時帰国手当 | 180万円 | 0万円 | 180万円 |
(1~5)合計 | 1500万円 | 960万円 | 540万円 |
ただ、ここから先の解説にあるように、実際には金額でみる収入アップ分ほどのメリットがあるわけではないですが、それでも手当が540万円と相当大きいのは事実です。
では、(1)~(5)のそれぞれの項目を細かく見ていきましょう。
(1)基本給+ボーナス
多くの日系企業では、海外駐在員の基本給やボーナスも原則として日本勤務と同じ基準で支払われます。
なので、海外駐在前後で職位が変わらなければ、日本勤務の時と同じ額が海外駐在でも支給され続けることになります。
僕の場合も、海外駐在前後で職位が変わっていないので、この部分は日本勤務と変わっていません。
(2)海外物価調整費
例えば物価が高い国や、通貨が高い国に赴任しているのに、日本基準の給与額を日本円でもらっているとどうなるでしょうか?
海外で生活するために、日本円でもらった給料を外貨に交換する必要がありますが、ここで円安ということは、交換するときにもらえる外貨が少なくなってしまうので、海外で生活するときに不利になってしまいますよね。
そこに更に物価高が重なってしまうと、同じ日本円をもらっても日本と同等のものを買えない、極端に言えば日本と同じ水準の生活ができない状況になってしまいます。
そういった事態に備え、日本と同等の生活ができるように日本と海外とで生活にかかる費用の差額を補償する目的で支給されるのがこの「海外物価調整費」です。
この額は駐在する先の物価と為替によって毎月変動します。
僕のケースだとこの金額が大きいですが、これはこの記事を書いている時点の円安・ユーロ高に加えて、赴任先のドイツでの激しい物価上昇のせいです。
結局、赴任地で使うお金も増えるので、残念ながらここの金額の大きさがそのままメリットになるわけではありません。
それでも現地で生活している僕の肌感覚としては、生活費が上昇する分以上に補填されている(=プラスになっている)ように感じています。
僕だけでなく、周りの駐在員も同じ感覚のようです。
(豪遊生活とかしなければ、ですが!)
(3)海外勤務手当
日本ではなく海外で、不慣れな文化的・社会的な環境に適応しなければならないことへの補償や、日本では起こらない海外ならではの発生事項に対する補償と言われている手当です。
例えばどんな事例があるの?と言われても実際のところあまり思いつかず、海外で勤務するインセンティブ(報奨・奨励)とも言える手当なんじゃないかな?と思っています。
海外生活は全然苦じゃない、特別な支出とか特にないよ!という人にとっては単純な収入増になりそうですね。
(4)海外地域別手当
海外駐在の中でも、それぞれの地域の生活の困難レベルに合わせて支給されるハードシップ手当です。
僕のケースのようにドイツや、その他にもアメリカなど先進国では、このようなハードシップ手当は補償されません。
東南アジアの途上国や中国の僻地、インドなど、生活が難しいとされる国・地域ではこの手当が手厚くなります。
タイのバンコクなど、昔は生活が困難だったので手当が出ているのが、最近環境が改善されてきて「もう手当不要では?」と経費削減したい人事部と、恩恵を受け続けたい現地駐在員との間でバトルがあるそうです。笑
(5)海外一時帰国手当
海外駐在員も年に数回は日本に帰りたくなるものです。
その一時帰国の航空券費用を会社が補填してくれる手当で、家族の人数や単身赴任かどうかで支給金額が変わります。
特に僕のように単身赴任の場合、離れ離れになっている家族に会うために年に複数回帰国できるよう、この部分の手当を厚めにしてくれているのが大きな特徴です。
この手当金額の大きさと、家族と離れる生活、どっちを取るか?は意見が分かれそうですね。
海外駐在員のお金事情②支出が減る
海外駐在員の給料の実態として、収入が上がることに加えて支出が減ることも大きな特徴です。
なぜなら海外駐在員は会社からの補助が手厚く、自己負担で支払うものが減るためです。
ここでも再度、僕のケースを使ってご紹介しますが、僕が恩恵を受けている代表的なものとしては以下の3つ、合計して年間60万円分の支出減について解説します。
- 自動車維持費:年間で50万円減
- 医療費:年間で5万円減
- 通信費:年間で5万円減
※単身赴任ではなく家族帯同の場合は、この他にも子供の教育費に関しても手厚い補助があります!
(1)自動車維持費
大手を中心とする多くの日系企業では、海外駐在員に対して通勤や出張用に車が支給(貸与)されます。
車の取得費用はもちろんかかりませんし、税金や保険、駐車場、そしてなんと定期的な洗車やタイヤ交換など、自動車の維持にかかる費用の全てが会社負担です。
そして、会社からの支給ではありながらも、プライベートでの利用も(常識の範囲内であれば)認められているので、会社の車で土日に隣国のアウトレットまでドライブしてきたよーなんて駐在員も多いです。
ただしガソリン代については、出勤や出張に相当する部分のみ会社負担で、さすがにプライベート利用の分は自己負担になります。
僕が日本にいたときの車の維持費は、駐車場代も含めるとだいたい50万円くらいだったので、日本勤務の時に比べ50万円分の支出減相当になります。
首都圏だと駐車場代が高いんですよね…
(2)医療費
海外駐在員の医療費はとても手厚く、なんと日本の健康保険の適用対象となる医療費は全額会社負担、つまりどれだけ医療費がかかっても実質無料なのです。
僕自身は年間で5万円くらいは支払っていたようなので、5万円分の支出減になります。
ちなみに、僕のケースでは関係ないのですが、家族帯同の場合はなんと駐在員本人だけでなく家族全員に同じルールが適用されます。
家族全員分の医療費が無料になる、その恩恵は大きいですよね!
(3)通信費
海外駐在員にはもれなく、仕事に必要なMicrosoft社のアプリ一式が備わったスマホが会社から支給されます。
もちろんその取得費や通信費は会社負担なのですが、なんとこの携帯はプライベート利用も可能なので、自己責任で自分の好きなアプリを入れることができます。
僕も日本で持っていた携帯を解約し、会社支給の携帯にLINEなどアカウントを引き継いで使っているので、通信費分の5万円分の支出減になっています。
休日にも仕事のメールを見れてしまう、という弊害もあります…
まとめ
今回は海外駐在員の年収の実態を、日本勤務していた時の年収と比較してお伝えしました。
為替や物価を加味した手当などで金額が増えるので、収入アップした分の全ての恩恵を受けているわけではありませんが、とはいえ手元に残るお金は間違いなく増えています。
海外駐在員になると、このように報酬面で大きく飛躍することができる上に、海外勤務経験で転職市場での価値も上がるので、これからのキャリアに迷っている人にはぜひ一度考えてもらいたいです。
海外駐在員を目指す第一歩はなんといっても英語力、それもTOEICのような試験英語ではなく英語を使う力です。
次の記事で、忙しい社会人でも効率的に英語学習を進める方法について解説しているので、早く確実に英語を習得したい人はぜひチェックしてくださいね!
コメント